月夜見 “お祝いはお上手?”

         〜大川の向こう より

 
ちなみに、去年は何をどう勘違いしたか、
いやいやあれで本気だったかもしれないと、
大人や関係者ご一同に物議をかもした、

 ―― 肩たたき券、10枚つづり

だったそうで。


  え? 唐突に何の話かって?
  ですから、この時期なんですから…



    ◇◇



今年は1が6つも並ぶって、
テレビでもゆってたぞ、すげぇなぁと。
6つ並ぶのが凄いのか、それとも、
某製菓会社のCMがわざわざ告知してたのが凄いのか。
どっちとも取れるような
微妙な関心をしていた坊っちゃんだったんで、
ああ、覚えてはいたんだ、凄げぇなと。
当のご本人はそっちへ感心していたずれっぷりの、
割れ鍋に綴じ蓋なコンビであり。

 “…それって夫婦もんに使う言い回しなんじゃあ。”

妙なところだけ大人なんだね。
あ、今うっせぇなって顔したな?
(笑)
剣豪坊やの、今日はめでたいお誕生日で。
何しろご実家は、
何代も続く剣道の道場を持っておいでの
なかなか武骨なご一家ではあるが。
先代から始めたという
製粉業の方が忙しいくらいの今日この頃。
そして、そっちつながりで、食品業界にも伝手が出来、
家族の慶事には余さずというノリで
色んなお店からのケーキじゃ甘味じゃが届きもし。
それのご相伴に預かってきた小さな王子も、
そのせいでか ずんと舌が肥えてきていたその上、
小さな中州の里の間近に
そりゃあ美味しいケーキ屋さんが開業しもしたもんだから。

 てっきり、
 美味しいケーキが食べれる日だvvと心待ちにし、
 どっちが主役やらという微笑ましい期待に
 ワクワクしているだけだと思っておれば。

 「じゃじゃん
 「……これって。」

プラスチックのカップに、
スポンジと生クリームをふんわりと詰めて。
イチゴや桃やキウィといったカットフルーツを
それは愛らしく配置した、
なかなか愛らしい“ケーキ”を化粧箱に詰め、
これが今年のプレゼントルマンだと、
どっかで何かとごちゃ混ぜになったらしいお言いようをして
やるぞと突き出した腕白坊や。

 「ゆっとくけど買ったんじゃないからな。
  マキノと一緒に俺が作った。」

 「…マジか。」

滅多にそういう蓮っ葉な言葉づかいはしないゾロが、
ついつい今時の物言いで確かめちゃったほどに。
そりゃあ驚いた出来の愛らしいケーキが、
今年のルフィ坊やからの
お誕生日プレゼントであったものだから。

 「おいおい誰だよ、
  今年はお手伝い券のつづりじゃないか
  なんて言ってたのは。」
 「シャンクスだ、そりゃ。」
 「俺はてっきり
  へべれけな似顔絵じゃねぇかと思ったんだがな。」
 「手製といや、
  かろうじて握り飯って言ってたのがベンだけか。」

大人たちが だあ負けただの勝っただの、
何やってんだかな結果に沸いてたのはともかく、

 「凄げぇな、ありがとな。」
 「おう、いいってことよvv」

意外も意外、
色んなことでビックリさせられ続きで
慣れてたはずなゾロでさえ、
唖然としたままお礼を言えば。
気にすんなと大きく胸を張った腕白坊やが続けたのは、

 「お返しは3倍がえしな。」
 「……はい?」

くいなやたしぎ姉ちゃんたちがゆってたぞ、
カレ氏に贈り物をしたらば、3倍にして返してもらうもんだって。

 「これの3つ分のケーキだかんなvv」
 「ケーキなのは いいがな。」

もしかして、それって俺が作るのか?と、
そこが問題だったらしい剣豪坊やなところへ、
そこかいと大人たちからの突っ込みが入ったのは言うまでもなくて。


  
HAPPY BIRTHDAY!  TO ZORO!




  〜Fine〜  11.11.17.


  *ここまで遅くてすいませんの、剣豪BD作品、その2です。
   ルフィ坊やは、
   意味も判らぬまま、周囲のお姉さんたちから
   要らんことをいっぱい吹き込まれていそうです。
(笑)

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